詩の定期便 12

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By 編集部 / 2021.12.12

この連載について

「詩は生むものではなく 自分を分割する行為なのかもしれません」

15歳で詩集『童女M』を刊行し、詩人として表現活動を続ける、みちる(松崎義行)さんによる詩の連載です。

2週間にいちど、ここに詩をとどけます。

 

 

 

 

 

いちにのさんで

 

いちにのさんでやりましょう
と言われて
そんな勇気を持っていたか不安になる

 

さんにいいちで
消えたくなった

 

 

 

 

 

プレゼント

 

冬の暖かい日差しの中で
夢を見たわ

 

どこからが夢で
どこまでが空想だったか
わからないの

 

冬の街を雨が通りすぎ
珍しく虹が掛かったの
そして
いつまでも消えずにいた

 

白いカーテンの揺れる部屋で
あなたは風がいいねと言って
ほほえみかけてくれた
私は
そう?
とわざとそっけなくした

 

それからあなたに
プレゼントの箱を手渡したわ
あなたは私の肩を抱き寄せて
いつもの挨拶のキスをした

 

夜がきて
朝がきて
沢山仕事をした
友達とお酒を飲み
旅行にも行った
ネイルも何度も塗りかさね
それと同じくらい嘘もついた

 

気づくと
いつもの場所の
古びた椅子にすわっていて
目覚めていたけれど
いつ
眼をあけたのか
もう忘れていたの

 

 

 

 

 

端っこの星

 

細長い部屋の端っこで
詩をかいている
ずっと端っこにいるのは
僕の好み

 

だからなのか
端っこが好きな人が好き
端っこを分かち合い
端っこでおしゃべりするのが
いい

 

真ん中で輝く星は
憧れの一等星
ぼくは端っこのやっと見えている星が好き
名前さえわからない

 

小さな星がなければ
きっと宇宙はもっと寂しい
大きな星が幾つ寄り集まっても
闇に消えゆく小さな星の
その沈黙に
敵わない

 

 

 

 

 

みちるさんへのメッセージや詩の感想はこちらまでお送りください。
webkikaku@miraipub.jp

 

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《 みちる(松崎義行)さん プロフィール 》

詩、作詞、詩の選評、本の編集。
詩のデザインレーベル  oblaat(オブラート)
札幌ポエムファクトリー指導
詩のある出版社・ポエムピース株式会社
本で未来を作る? 株式会社みらいパブリッシング
2 つの出版社の 社長

1964年東京吉祥寺生まれ。15歳の時に第一詩集「童女 M-16の詩」を出版社を設立して刊行。詩の投稿雑誌「TILL」「未来創作」を創刊。またエフエム福岡、ラジオ日本、雑誌「ダ・ヴィンチ」などで詩、歌詞の選者。詩集に「NONE」「SEVEN STEPS」「バスに乗ったら遠まわり」「100万円あげる」、「10秒の詩-心の傷を治す本」「幸せは搾取されない」、ビジネスエッセイ「詩人少年、社長になる」「夢を100万回かなえる方法」(日本・韓国)。「oblaat(オブラート)」、「福島の花を広めるプロジェクト」に参加。「ここは花の島」、同名の合唱曲(谷川賢作さん作曲)、トリ音ミニアルバム「自分らしさを咲かせて」、オタクノマドとして絵本のテーマソングシリーズ「ピカ・プカ・ポン」作詞。

 

本について