詩の定期便 24

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By 編集部 / 2022.09.19
毎日首つり

 

目を覚ますとき
毎日首がつられる

硬いロープで
喉を締め付けられて
気が遠くなる勢いで
目を覚ます

それでも
目覚まし時計で起きるよりは
自分らしい
と思う

眠るときは
馴れない手漕ぎボートで
小さな波を超えていく

目的地は見えず
永遠に近づけない
虚しさの重みで
沈んでいく

 

 

束ねた髪の 後ろを歩く

 

束ねた髪を振り子のように
揺らして歩く
月夜の道を

束ねた髪の振り子を見つめ
一緒に揺れる
リズムをとって

束ねた髪が
かすかに香る
遺影の前の
果物のよう

 

 

弱虫の宣言

 

降りしきる蝉時雨の
都会の木立を抜けて
あなたから
離れていった

地下鉄にもぐり
当てもなく駅で降りて
また乗った

気づくと
知らない国にいた
飛行機を降りたのは半日前

あなたから離れたのは
一日前

知らない人に囲まれて
泣いていたのは
ずっと前
そしていまもだ

何かがこんがらかっているが
解く気持ちにならないのは
それが我が身を守っているから

そのことだけは
宣言しておこう

 

 

《 この連載について 》
「詩は生むものではなく 自分を分割する行為なのかもしれません」15歳で詩集『童女M』を刊行し、詩人として表現活動を続ける、みちる(松崎義行)さんによる詩の連載です。2週間にいちど、ここに詩をとどけます。

 

《 記事一覧 》

 

《 みちる(松崎義行)さん プロフィール 》
詩、作詞、詩の選評、本の編集。詩のデザインレーベルoblaat(オブラート)札幌ポエムファクトリー指導 ポエムピース株式会社・株式会社みらいパブリッシングの社長。1964年東京吉祥寺生まれ。15歳の時に第一詩集「童女 M-16の詩」を出版社を設立して刊行。詩の投稿雑誌「TILL」「未来創作」を創刊。またエフエム福岡、ラジオ日本、雑誌「ダ・ヴィンチ」などで詩、歌詞の選者。詩集に「NONE」「SEVEN STEPS」「バスに乗ったら遠まわり」「100万円あげる」、「10秒の詩-心の傷を治す本」「幸せは搾取されない」、ビジネスエッセイ「詩人少年、社長になる」「夢を100万回かなえる方法」(日本・韓国)。「oblaat(オブラート)」、「福島の花を広めるプロジェクト」に参加。「ここは花の島」、同名の合唱曲(谷川賢作さん作曲)、トリ音ミニアルバム「自分らしさを咲かせて」、オタクノマドとして絵本のテーマソングシリーズ「ピカ・プカ・ポン」作詞。
 
 
 
 
 
 

 

本について