詩の定期便 7

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By 笠原名々子・nanako / 2021.09.05

この連載について

「詩は生むものではなく 自分を分割する行為なのかもしれません」

15歳で詩集『童女M』を刊行し、詩人として表現活動を続ける、みちる(松崎義行)さんによる詩の連載です。

2週間にいちど、ここに詩をとどけます。

 

 

 

 

 

 

 

 

窓越しの道に雪が降り出して
すこし経つと
陽の光が眩しく建物や道を照らし始めたけど
窓と私の間に
HITORINO女性が座っていて
(あ、これは誤変換だ)
シチューを口に運んでいる
(あのシチューはいいシチューだ)

 

背後からはスピーカーが奏でる
ジャスがかかっているけど
これを書くまでは気づかなかったのだ

 

雪は今やんだ
同時に
陽の光も照らすのをやめた
だけど
たぶんまた雪は降ってくるだろう

 

お店の人が
何かを話している
私はあと1時間で
2杯目のコーヒーを飲み干して
ここを出ていくだろう
(出て行った後のことは
今は考えないことにしよう)

 


おととい私は55歳になったが
年齢というものの感覚が
いつもずれている
刻まれた目盛りは
そこに宿る呪いのようにつきまとうが…
いや 
あるいは
そんなにわるいものではないのかも!

 

ほら
雪が降り出して
お天気雪になったし
心も天気のよう
天気は心しだい

 

さくさく
さくさく
なにかをきざむ音
私も私の時間を刻み始めようか
私の呼吸を基準にして
私の演算速度でいいから

 

 

 

 

 

 

 

 

みんなが寝静まる頃
私のひとりぼっちは
珍しくなくなるから
私は少し元気になる

 

 

 

 

 

 

 

 

みちるさんへのメッセージや詩の感想はこちらまでお送りください。
webkikaku@miraipub.jp

 

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《 みちる(松崎義行)さん プロフィール 》

詩、作詞、詩の選評、本の編集。
詩のデザインレーベル  oblaat(オブラート)
札幌ポエムファクトリー指導
詩のある出版社・ポエムピース株式会社
本で未来を作る? 株式会社みらいパブリッシング
2 つの出版社の 社長

1964年東京吉祥寺生まれ。15歳の時に第一詩集「童女 M-16の詩」を出版社を設立して刊行。詩の投稿雑誌「TILL」「未来創作」を創刊。またエフエム福岡、ラジオ日本、雑誌「ダ・ヴィンチ」などで詩、歌詞の選者。詩集に「NONE」「SEVEN STEPS」「バスに乗ったら遠まわり」「100万円あげる」、「10秒の詩-心の傷を治す本」「幸せは搾取されない」、ビジネスエッセイ「詩人少年、社長になる」「夢を100万回かなえる方法」(日本・韓国)。「oblaat(オブラート)」、「福島の花を広めるプロジェクト」に参加。「ここは花の島」、同名の合唱曲(谷川賢作さん作曲)、トリ音ミニアルバム「自分らしさを咲かせて」、オタクノマドとして絵本のテーマソングシリーズ「ピカ・プカ・ポン」作詞。

 

《 関連書籍 》

詩人と母
著者 田原・松崎義行
命を見つめる、日中両国の詩人による詩&エッセイの感動競作!!

 

 

 

 

10秒の詩  ─ 心の傷を治す本 ─
詩:みちる 絵:上村奈央
ロングセラー増刷出来。短い言葉が心の奥まで浸透して、傷を治します。

 

 

 

幸せは搾取されない
著者 松崎義行
詩の時間シリーズ。読みやすくて、深い詩の世界を旅してみませんか