詩の定期便 14

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By 編集部 / 2022.01.10

この連載について

「詩は生むものではなく 自分を分割する行為なのかもしれません」

15歳で詩集『童女M』を刊行し、詩人として表現活動を続ける、みちる(松崎義行)さんによる詩の連載です。

2週間にいちど、ここに詩をとどけます。

 

 

 

 

 

夜。モノレールの、上で。

 

モノレールが空をゆく
その下で
君の睫毛がバッサバッサと風を起こした
ただ瞬きをしていただけなのに
 
路上は太陽の光を吸収して
熱を発している
路上の君は思わずもだえている
 
無理からぬ事情は世間に溢れ
恩情と薄情が組んず解れつ寝乱れて
涙の塩まみれになっている
 
そうか
黄色い色ばかり目立つね きょうは
なんだろう なぜだったのだろう
過去と未来に挟まれた路地裏が
表返って
中間的な者たちが居場所を失い
さまよい出る場所をさがしている
 
冬の暑い日
夏の寒い日に見た金星が
君を目がけて矢を放ってくる
 
もういいかげん
目を醒ませよ
酒でも浴びて
目を醒ませよ
諸君

 

 

 

 

 

コーラを振って

 

そのコーラの缶開ける前に
思い切り振ってもらえないかな
あたたかい部屋の中で
 
きょう2人きりだった記念に
そう
きょうは特別な日になる
未来の2人にとって
 
準備中の看板は
もう降ろしたよ
心の準備もできた
 
ほら
窓から見える満月も
心待ちにしてしているみたいだ
 
遠くで汽笛がなった
いまだ
振るんだ
そしてリングに指をかけ
プルトップを持ち上げるんだ
 
泡のシャワーに祝福された君の指には
アルミのギンのリングが残る
安っぽい輝きにみえるかい

 

 

 

 

 

あなたは何も持っていないから

 

あなたは何も持っていないから
持っている人より
たくさんのものを
これから持つことができる
 
何をもつかは
あなたとあなたの運次第
 
あなたはいまは何も持っていないから
何も捨てることができない
 
あなたがこれから何を捨てるのか
わたしは見届けたい

 

 

 

 

 

みちるさんへのメッセージや詩の感想はこちらまでお送りください。
webkikaku@miraipub.jp

 

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《 みちる(松崎義行)さん プロフィール 》

詩、作詞、詩の選評、本の編集。
詩のデザインレーベル  oblaat(オブラート)
札幌ポエムファクトリー指導
詩のある出版社・ポエムピース株式会社
本で未来を作る? 株式会社みらいパブリッシング
2 つの出版社の 社長

1964年東京吉祥寺生まれ。15歳の時に第一詩集「童女 M-16の詩」を出版社を設立して刊行。詩の投稿雑誌「TILL」「未来創作」を創刊。またエフエム福岡、ラジオ日本、雑誌「ダ・ヴィンチ」などで詩、歌詞の選者。詩集に「NONE」「SEVEN STEPS」「バスに乗ったら遠まわり」「100万円あげる」、「10秒の詩-心の傷を治す本」「幸せは搾取されない」、ビジネスエッセイ「詩人少年、社長になる」「夢を100万回かなえる方法」(日本・韓国)。「oblaat(オブラート)」、「福島の花を広めるプロジェクト」に参加。「ここは花の島」、同名の合唱曲(谷川賢作さん作曲)、トリ音ミニアルバム「自分らしさを咲かせて」、オタクノマドとして絵本のテーマソングシリーズ「ピカ・プカ・ポン」作詞。

 

本について