詩はだれのもの? 詩の学校 ポエムファクトリー(第2回)

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By 編集部 / 2021.07.29

この連載について

詩は神聖なもの? 

特別な人にしか書けないの?

詩人として、作詞家・書籍編集者として表現活動を続ける松崎義行(別名:みちる、マツザキヨシユキ)さんによる、詩の発想法を学ぶ連載です。

 

 

第2回目のテーマ:

詩はだれのもの?

 

 

詩に名前を入れるとき、これは本当に自分のものかな、と

思って手が止まるときがあります。

盗作だということではなくて。

 

名前を入れることで

読む人が他人の所有物を「見せてもらう」という

感じにならないかな、と心配になる。

 

というのは

美術館で絵を観るときに、

サインが絵に入っていて

邪魔な感じがするんです。

絵の世界に没頭できない。

という経験があるからです。

 

古い時代から

なぜ

絵にサインが入れられたのでしょうか。

裏に入れておけばいいのに。

 

そういえば、

こどものころから、

車とかオーディオに

メーカーの名前が入っていることにも

?(ハテナ)だらけで

ステレオ(死語ですが)のメーカー名の銘板を外して

叱られたこともありました。

 

自分の名前を入れるなら

所有者が!

と思ったのですが、

なんで 所有者じゃないのに 名前を勝手に入れるんだ! と。

 

名前を入れるというのは

強いメッセージですね。

 

署名、とか有名の価値とか

名前があることでいいことは 確かにあると思うのですが

入れ方には気をつけたいと思うのです。

 

無印良品が登場したときには

メーカーの名前を知らずにすむ自由を手に入れたみたいで

拍手を送りましたが、

あとから、あれも 作り手ではないが、無印という確固とした

ブランド名が入っていることに気づきました。

 

豆腐を豆腐売りから買うように

名前のないものを買いたい、

名前のない作品を見たい!

そんな欲求が心の底の方に溜まっています。

 

詩を読むとき

作者の名前を意識しないで読むこと。

でも、でも、これは、違う感じがしたのです。

意識したほうが、豊かだと。

いや、意識してもしなくてもいい、というのが豊かだと。

 

詩を書くときも

同じかもしれませんね。

 

自分の我を表すべきか。

我はだめだが オリジナリティーはOKか。

そりゃそうだ。

 

作家性を楽しむ、

継続的なテーマの追いかけを楽しむというのはむしろ王道。

 

自分の作品を作るとき

自分のテーマを追い続けているか

そして

そのどの位置に

名前を記すかどうかも

詩の一環であると

思うのでした。

 

(私、無名の詩も書いています)

 

 

 

〔 追伸 〕

 

でも、サインがあることで

その作家と繋がって

お礼が言えたような気がすることもあります。

 

 

 

 

−この連載はブログ「詩の学校 ポエムファクトリー」を元に構成しています−

 

授業の感想や質問などはこちらまでお送りください。
webkikaku@miraipub.jp (みらいパブリッシング ウェブ編集部)

 

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《 松崎義行さん プロフィール 》

詩、作詞、詩の選評、本の編集。
詩のデザインレーベル  oblaat(オブラート)
札幌ポエムファクトリー指導
詩のある出版社・ポエムピース株式会社
本で未来を作る? 株式会社みらいパブリッシング
2 つの出版社の 社長

1964年東京吉祥寺生まれ。15歳の時に第一詩集「童女 M-16の詩」を出版社を設立して刊行。詩の投稿雑誌「TILL」「未来創作」を創刊。またエフエム福岡、ラジオ日本、雑誌「ダ・ヴィンチ」などで詩、歌詞の選者。詩集に「NONE」「SEVEN STEPS」「バスに乗ったら遠まわり」「100万円あげる」、「10秒の詩-心の傷を治す本」「幸せは搾取されない」、ビジネスエッセイ「詩人少年、社長になる」「夢を100万回かなえる方法」(日本・韓国)。「oblaat(オブラート)」、「福島の花を広めるプロジェクト」に参加。「ここは花の島」、同名の合唱曲(谷川賢作さん作曲)、トリ音ミニアルバム「自分らしさを咲かせて」、オタクノマドとして絵本のテーマソングシリーズ「ピカ・プカ・ポン」作詞。

 

《 関連書籍 》

詩人と母
著者 田原・松崎義行
亡き母に捧げる、日中両国の詩人による詩&エッセイの感動競作!

 

 

 

 

10秒の詩  ─ 心の傷を治す本 ─
詩:みちる 絵:上村奈央
ロングセラー増刷出来。短い言葉が心の奥まで浸透して、傷を治します。

 

 

 

幸せは搾取されない
著者 松崎義行
詩の時間シリーズ。読みやすくて、深い詩の世界を旅してみませんか