「最後まで読むと、泣きそうになるね」

最近、編集部のメンバーたちが、大切そうに抱きかかえて、しみじみ読み入っている絵本があります。

それが『スキニーとガリーの あたらしいともだち』。

著者のはまだみわさんに、作品に込めた想いを聞きました。

 


『スキニーとガリーの あたらしいともだち』表紙

 

Q1 ガイコツが主人公のお話なんて、めずらしいですね

スキニーとガリーとその家族は生者でもなく、死者でもなく、生と死の間、時間軸にとらわれない世界に存在しているマイノリティです。

人間になれないので世の中に受け入れられず、いっそ死んでしまうこともできず、何者にもなれない悲しい身の上です。

普段は人間に隠れて、ひっそりと慎ましく生きている孤独なものたちですが、それを憂うことなく小さな幸せを存分に楽しんで暮らす、楽観主義者たちでもあります。

 


小さな幸せを楽しみながら暮らすスキニーとガリー

 

Q2  この絵本には、ほかの絵本ではあまり描かれない、命のテーマに一歩ふかく踏み込んだ描写がありますね

生きていると喜びもありますが、辛いことや悲しいこともたくさんあり、どうしようもなく心がくじけることがあります。

でも人間は、そんな辛さを原動力に変えて乗り越えていく大きなパワーを持っていると信じています。

作品を読んだ子供たちには、したたかに強く生きていく命のパワーを感じて欲しいなと期待します。

大人の読者にはただ、「なんだ、ペットの飼育放棄批判がテーマじゃないか」と受け止められるかもしれません。

確かにそのような側面もあるのですが……

全てのいのちは生かされるべくして生まれたいのちなのだということ、そして、この世で味わう幸せをそのいのち自身が選び取ることができるということを、感じ取っていただけたら嬉しいです。

 


ささやかなふたりの暮らしに、猫が迷い込んできて…。物語は、思いがけない方向へ進んでいきます

 

Q3 息子さんがいらっしゃるそうですが、息子さんもこの絵本を読まれたのですか?

息子が5歳の頃に、この絵本の下描きで読み聞かせをしたことがありました。

すると数日後、お風呂に入っているときに「死んだらホネになるの?」と尋ねてきました。

絵本を読んだ後、息子は自分なりに生き物の「死」について考えていたようです。

私は「生き物は死んだら土に還って、もう生き返ったりはしないんだよ」と答えました。

その時、私は彼に「だから一つしかない体と命を大事にしようね」と伝えることができました。

息子がこれから成長して、自分の命も他人の命も、どんな生き物でも、命を丸ごと抱える地球さえも大切に想う大人になって欲しいと願っています。

 

Q4 最後に、これから絵本を読む読者の方に、一言お願いします

現実にはありえない冒険世界を楽しめるのが絵本の醍醐味だと思います。

読者の方に古い映画を見ているような異世界の空気を味わってほしいです。

これからも現実では体験できない世界を絵本の中で描きたいと思います。

 


クライマックスに向けて、あかるい光が差してきます

 

以上、はまだみわさんへのミニインタビューでした。

 

 

 

はまだみわさんのプロフィール

絵本作家・イラストレーター

兵庫県神戸市在住。長きにわたり地道な活動を続け、第4回絵本出版賞 審査員特別賞を受賞。
本書は渾身のメジャーデビュー作。
ウェブサイト:https://www.hamadamiwa.com
Instagram:@miwa_hamada_

 

 

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