《再掲》本を開いて、心の旅に出よう! 日常を豊かにしてくれる素敵な旅BOOKを紹介します
ときどき、気がつくと「どこかに行きたいなぁ〜」と呟いていることがあります。
新型コロナウイルスの流行がはじまってからというもの、外出して家族や友達と気軽に出かけるということすら、今まで通りとはいかなくなってしまいました。
なんだか世界全体がコロナウイルスによって、今までとは違う生活になり、少し心が窮屈になっているように感じます。
テレワークをしていて、気づくと誰とも話さずに過ごした、そんな1日。
または会社に出かけて、帰宅して、毎日が同じように繰り返される、そんな1日。
または子供が小さくて、自分の時間なんて持てなかった、そんな1日。
誰もが、日常を離れた時間に思いを馳せる時があるでしょう。
「たまにはどこかに行きたいなぁ〜」と思わず口から出てしまう、そんな瞬間が。
そんな時に、1日10分でもいい。
本を読んで、その世界に浸ってみるのはどうでしょう?
本を開くとそこには、違う文化や時間、心の旅があるかもしれません。
今回はそんな旅する気分になれる本を3冊ご紹介します。
女2人旅 プロヴァンス 30日30万円の極上暮らし
(本の内容)
南仏エクス・アン・プロヴァンスでアパルトマンを借りて、女性2人が優雅な暮らしを満喫する様子を綴ったフォトエッセイ。
マルシェで売られている品々
花を使って日々の食卓を贅沢に
バイヤーとアーティフィシャルフラワーデザイナーの女性2人が借りたアパルトマンは、アンティーク家具で設えた部屋。
それはまるでラグジュアリーなホテルさながら。
毎日のようにマルシェへ行き、素敵な食材と人々の笑顔に出会い、その食材を使って丁寧にテーブルセッティングを施し、お花を飾り、その時間をゆっくりと味わうのです。
そんな生活から、フランスの文化が垣間見えます。
マルシェで売られているピオニーは、まさに満開。今綺麗に咲いているこの瞬間が美しい。たとえ明日枯れてしまおうとも“今”を大切にするフランスの美的感覚。まるで絵画を見ているよう。(文中より抜粋)
なんて素敵な感覚なのだろうと、読みながら咲き誇る花々に見惚れていました。
自分の生活にも、まるで「心に旅をさせる」ように、取り入れたいなと感じました。
満開のピオニーの花
リラの花が咲く頃が一番素敵な季節と言われている
この本には「本当の豊さとは何だろう」ということが描かれています。
きっとそれは、お金があるなしに関わらず、時間があるかどうかでもなく、
心にほんの少しの余裕を持たせることではないでしょうか?
フランスへ旅に行けなくても、この本を開いて「心が旅をすること」が出来るのです。
私はひとまず、満開に咲いている花を買いに行って、食卓に飾ることからはじめてみようと思います。
Inu de France 犬・ド・フランス
(本の内容)
フランスの各地を旅しながら、偶然出会った犬と愛犬家たちとの出会いを愉しむ、写真紀行エッセイ。
本のタイトルは、フランスの地域圏「イル・ド・フランス Île-de-France」の名称をもじって付けられたものです。
中世の城郭都市「エグ=モルト」旧市街地
「はい、ポーズ!」あらら
パリをはじめ、カンペール、オーレー、アミアン…
あまり知られていないながらも魅力溢れるフランスの街の、それぞれに美しい風景のなか、あるいはマルシェ、メトロの中で、偶然出会い、触れ合う犬と愛犬家たちとの時間。
そこには、飾り気のない、土地に根差して暮らす市井の人々の姿を写しとった一期一会の瞬間が納められています。
フランス北西に位置するブルターニュ地方に、フィニステールという県があります。
「フィニス」は「終わり」を、「テール」は「大地」を意味します。
つまりそこは「地の果て」と名付けられた場所なのです。
そんな「地の果て」にある、カンペール旧市街地の「バターの広場」
たくさんのクレープリーが建ち並ぶ一角で、茂みの中に2匹の柴犬を見つけた作者。
こんなに遠くまで来て、茂みにいるのは、あの柴犬なのです!
作者は好奇心に駆られて、飼い主を探します。
カンペール旧市街地の「バターの広場」
茂みの中からちょこんと顔を出す柴犬
近くのクレープリーの店員さんの犬だとわかると、そこから面白い展開となります。
クレープリーのご主人は「ミミという柴犬と一緒にこのお店を立ち上げた」と話し出します。
ミミはこの柴犬達の母犬なのです。
そしてお店の共同経営者のように、ご主人とパートナーとして働いているということ。
そして今、ミミはヴァカンスに出かけている最中だとか。
犬を人間と同じようにパートナーとして扱い、長期休暇(ヴァカンス)まであるなんて、そんな話は生まれて初めて聞きました。
その後も色々な街で出会う犬のエピソードがありますが、フランスならではの習慣がちらほら…
例えばフランスでは近頃まで、リードを繋げずに散歩をさせる人が多かったそうです。
自由・平等・博愛の精神を犬に対しても、という考えが浸透しているのかもしれませんね。
そのような考え方が根底にあるかどうかはわからないけれど、
この本に写っている犬達は、まるで人のように見える瞬間があります。
愛犬家と犬のじゃれ合いは、時にパートナーとして、時に家族のように、時に友達のように…
信頼し切ったその表情の豊かさに、心が癒されます。
たまにはこんな風に、犬と出会うために散歩をしてみるのもいいかもしれませんね。
そこでどんな表情やお話と出会えるのか、想像するとワクワクしてくる。
そんな気分にさせてくれる1冊です。
(Fujiyama)永遠の富士山
(本の内容)
四季折々の富士山を愛し、10年の歳月をかけ、富士山を撮り続けた写真家の「富士山写真の決定版」とも言える写真集。
富士山は時として、想像を超える姿を見せてくれる。
驚きを、感動を、与えてくれるのだ。
そんなまだ見ぬ富士山の姿を、いつまでも追い続けたい。(文中より抜粋)
富士山はとにかく「雄大」な存在です。
その表情は、見る者に数えきれないほどの感情を呼び起こします。
「飛躍のとき」とタイトルのついた写真は、荒波と富士山を元旦に撮影したものです。
「夢は正夢」とタイトルのついた写真は、ダイヤモンド富士を撮影したものです。
写真からはどれも感情が零れ落ちてくるよう。
富士山は変わらずにそこにあるのに、こんなにも色々な表情を見せてくれるなんて、
なんてロマンチストなのだろう。
日本には四季があります。
富士山周辺では「春」「夏」「秋」「冬」の特徴がはっきりとしていて、
四季の素晴らしさを雄弁に物語ってくれます。
富士山と聞いて、人はどんな景色を思い出すだろう…。
私は関西出身なので、やはり上京するときに新幹線から見えた富士山には感動しました。
富士山と聞くと私はあの感情を思い出します。あの旅立ちの感情を。
人には、それぞれに思い出す富士山があるのではないでしょうか?
日本には富士山がある。
富士山が好きになる。富士山のある日本が、また好きになる。
誰にでも思い出す風景があるでしょう。
思わず「美しい」と、四季に感動する瞬間があるでしょう。
そんな心を持って、たまには外を見つめてみませんか?
晴れた日は富士山が遠くに見えるかもしれませんね。
以上、旅に出た気分になれる本を3冊紹介しました。
旅をするように本を読む。
すると今まで見えてこなかったものと出会うことでしょう。
そしてその本からもらったものを持って生活してみると、
今までとは見える風景が少し違うかもしれません。
それは「心が旅をした」からだと思います。
そんな風に、たまには、少し時間をつくって本を開いてみませんか?
そして心の旅に出かけましょう。
きっと新しい出会いがあると思います。
みなさん良い旅を!
※この記事は、新聞広告の掲載に合わせて過去の特集を再掲したものです。
《 書き手 プロフィール 》
南田美紅 / ライター
京都府出身。日本映画学校ドキュメンタリーコース卒業後、映画やテレビでの制作の仕事を経験。 30歳を前にして、コミュニティや場所作りを目標に置き、料理人としてキャリアをスタート。 現在は料理人、ライター、映像関係、福祉×アートのプロジェクトを勉強中。 やりたいことは全てやるのが私の主義です。
《 本について 》
『女2人旅 プロヴァンス 30日30万円の極上暮らし』
著者 岡本弥生・舛田有美
南仏でアパルトマンを借りて優雅な暮らしを満喫!オールカラーのフォトエッセイ集
『Inu de France (犬・ド・フランス)』
著者 田中淳
この世界に犬がいてくれて本当に良かった…。フランスで見つけた、ふたり(1人と1匹)の絆の強さ。
『(Fujiyama)永遠の富士山』
著者 太田裕史
富士山が好きになる。富士山のある日本が、また好きになる。