「ふくしま」が「フクシマ」になる前の話。『私のふるさと』
今日のひとこと
2021/03/12
昨日、東日本大震災の体験を絵本で表現した絵本『もりのきでんしゃ ゆうきをもって』を記事で紹介したところ、
編集者の安藝(紹興酒が大好き)から、「よかったらこの本も紹介してほしい」と言われました。
それが『私のふるさと』という1冊です。
この本を書いたのは、福島に生まれ、28歳のときに現在の南相馬市に移住した齋藤イネさん。
イネさんの綴る痛切な悲しみと怒りに、福島在住の水墨画家、朝倉悠三さんが美しい絵を添えました。
描かれているのは、「うつくしま ふくしま」と呼ばれた美しいふるさとが「フクシマ」とカタカナで呼ばれるようになる前の思い出。
そして、カタカナで呼ばれるようになったあとの想い。
「ふるさと」は、身体の一部です。
故郷が損なわれることは、肉体の痛みに匹敵するほどに鋭く、深く心に刻印される傷です。
本書は、原発事故の告発であり、通り一遍の「同情」ですませてしまい被災者の心に寄り添うことを忘れてしまいがちな人々への警鐘でもあります。
全国学校図書館協議会の選定図書にも選ばれた1冊です。
機会があれば、ぜひ手にとってみてください。
安藝(紹興酒が大好き)も、きっと喜びます。
東日本大震災の話に関連して、もうひとつ。
当社には、詩人、歌手、写真家など、さまざまな才能を持つスタッフたちがいるのですが、
当社の企画部リーダーで、ナレーターの仕事もしている近藤が、「サントリー東北サンさんプロジェクト」のナレーションを担当したそうです。
こちらの特設ページ(外部リンク)にある動画で、ダイジェスト版や10分のロングバージョンがありますので、よかったらこちらも観てみてください。
才能豊かな仲間たちに囲まれて、刺激を受ける毎日です。
(ななこ)
《 本について 》
『私のふるさと』
著者 作:齋藤イネ 画:朝倉悠三
原発事故は苛烈なまでに公平に、ふるさと福島から、あらゆるものを消し去った。