【手加減なしの尖った作品!?】発売されたばかりの第11回絵本出版賞最優秀賞受賞作家の作品を紹介!
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2024/05/17
昨年(2023年)に開催された第11回絵本出版賞の最優秀賞受賞作家による絵本2冊が、今春に出版されました!
実はこの2作品は、数ある応募作の中でも審査員に「尖っている!」と評された絵本たち。
一体どんなところが尖っているのか…?
ひときわ異彩を放つ2作品の魅力をご紹介します!
【子どもも大人も楽しめる『たべものどうぶつしりとり』】
タイトル通り、食べ物と動物を組み合わせた「たべものどうぶつ」でしりとりする絵本。
最初から最後までしりとりが続くシンプルな構成なので、2歳くらいの小さなお子さんにも楽しんでいただけます。
しかし、この「たべものどうぶつ」実は絵柄がちょっぴりキモチワルイんです…
絵本を開くと、大人も思わず吹き出してしまうようなシュールなイラストが目に飛び込んできます。
上のイラストは、チキンと金魚が合体したチキンギョ。疲れたおじさんのような、妙に生々しい顔つきがインパクト大です。
絵本出版賞の審査員も、原稿を見たとき声を出して笑ってしまったとか。
さらにしりとりの内容も一筋縄ではいきません!
常に想像の斜め上をいく組み合わせが登場するので、予想しながら読むとより一層楽しめます。
次は「わ」か〜。わかめと亀で「わカメ」…とか?
当たるわけがない😭
お子さんにとって面白いのはもちろんのこと、大人も心の中でツッコミながら読めるので、親子で楽しめる絵本になっています。
読み終わったあとは、オリジナルの「たべものどうぶつ」を考えて遊ぶと、お子さんの想像力を刺激するきっかけにもなりそうですね。
シュールなユーモアが爆発する個性派絵本『たべものどうぶつしりとり』について、もっと知りたい方はこちらから🍗
【ブラックユーモアと緻密な線画が心地良い『ノンサイエンスフィクション』】
風刺のきいたSFショートショートを絵本に落とし込んだような大人向け絵本。
100〜200年後の未来を舞台に、ディストピアを描いた6編の物語が収められています。
「列車の遅延に対するクレームをなくすために、駆け込み客へのレーザー発射を決めた鉄道会社」
「子どもを守るために、危険な遊具や有害コンテンツ、誤嚥する可能性のある食事を全て禁止にした政府」 など…
行き過ぎた人間の行いがゾッとする展開を迎える様子を見て、似たような未来があったら…と想像せずにはいられません。
ページ数に限りがある絵本ならではの方法で、社会問題を寓話的に表現しているのがこの作品の魅力。
スタイリッシュなイラストと相まって、切れ味抜群の大人向けアート絵本に仕上がっています。
読み終わったら、半透明の用紙を活かした表紙にもご注目ください
『ノンサイエンスフィクション』について、もっと知りたい方はこちらから🚇
【最優秀賞受賞作は前作から尖っていた!?】
続いて『たべものどうぶつしりとり』の作者 たなかべぶびさん、『ノンサイエンスフィクション』の作者 六畳たたみさんの前作をご紹介します。
それぞれ絵本デビュー作ですが、すでに唯一無二の個性を発揮しています。
『かわろうよ かわろうよ』(作:たなかべぶび)
こちらは、2022年に出版されたたなかべぶびさんの前作『かわろうよ かわろうよ』。
第7回絵本出版賞で審査員特別賞を受賞しています。
宿題やりたくなさに「だれか ぼくとかわってくれないかな〜」と呟いた勉強嫌いのめぐむくん。
するとどこからか「かわりたいの?」と声が聞こえ、扇風機や掃除機、ランドセルなど身の回りの物とからだが入れ替わってしまいます。
宿題よりも辛い悪夢のような体験をするめぐむくんは、果たして元のからだに戻れるのでしょうか?
というストーリーです。
めぐむくんのからだが道具にかわってしまった姿は大人でもちょっぴり不気味に感じるほどですが、最後には「自分でいることもそんなに悪くないよね」と前向きな気持ちにさせてくれる絵本でもあります。
『たべものどうぶつしりとり』で、たなかべぶびワールドを気に入った方はぜひお手に取ってみてください!
『かわろうよ かわろうよ』について詳しくはこちらから🎒
『鬱薬』(作:六畳たたみ)
『鬱薬』は第9回絵本出版賞大人向け絵本部門で奨励賞を受賞し、2023年に出版された作品です。
『ノンサイエンスフィクション』と同じく短編集形式の絵本で、六畳たたみさんの繊細なイラストとシニカルな作風を楽しめます。
収録作は
【 ROBBERY(強盗)】 何も持たない安心
【 TANK(戦車)】 盛者必衰
【 SEAL(シール)】 シュウチャクシン ノ ネンチャクセイ
【 LION(ライオン)】 ただただ今を生きるだけ
【 STAR(スター)】 星の数ほどあるなかで
【 DICTATOR(独裁者)】 栄枯盛衰
【 WHALE(クジラ)】 最高の(あるいは最低の)死に際
の7作品+α
どれも虚しさを感じる読後感ですが、見飽きない精密な線画と詩的な文章が心地よい余韻も与えてくれます。
『ノンサイエンスフィクション』の世界観が好みだった方はこちらもチェックしてみてくださいね。
『鬱薬』について詳しくはこちらから🐋
いかがだったでしょうか?
絵本出版賞をきっかけに、今回ご紹介したようなユニークでエネルギッシュな絵本が数多く誕生しています!
みらいパブリッシングは、これからもチャレンジングな絵本を出版し、読者の皆さまにお届けします📚✨