美しい銅版画の絵本『かまくらのおきゃくさま』 2月4日から原画展を開催
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2026/01/30

昨年11月にみらいパブリッシング(keu)より出版された絵本『かまくらのおきゃくさま』。
作者のこたかみちるさんが、今作の原画展を、東京・神保町で開催予定です(2月4日から同17日まで)。
2年の歳月をかけて制作した美しい銅版画の原画18点を展示します。
『かまくらのおきゃくさま』は、キツネの兄妹がつくったかまくらに、いろいろな動物が訪れる冬のファンタジー。
降り積もる雪が見せるさまざまな表情や、かまくらの中のほのかな暖かさが、モノトーンを基調に優しく描かれます。

▲こたかみちるさん
北海道釧路市出身の絵本作家さんです。
静かで優しい作品の世界観を実現した「メゾチント」の技法と、試行錯誤の作品づくり
作品全体をつつむ独特の柔らかい雰囲気は、銅版画の「メゾチント」の技法で表現したもの。フランスでは「マニエール・ノワール(黒の技法)」と呼ばれるとおり、黒と白の奥深く豊かなグラデーションの表現に優れています。メゾチントでは、まず、銅板の表面全体に縦横斜めの無数の傷をつけて、その傷にインクを絡ませて黒いキャンバスを作ります。キャンバスについた傷を、バニッシャーという鉄のペン状の道具で削ったり磨いたりして深さを調整して刷り上げることで、白い線や絵を浮き上がらせます。工程に多くの手間と時間と根気を要しますが、こたかさんは「暗がりに明かりが灯っているような、神秘的で静謐な世界をつくりだせる」とその魅力を語ります。
今作は、北海道・釧路で生まれ育ったこたかさんが「外は大雪。でも、おうちの中はあったかい。あの静かで幸せな風景と気持ちを舞台にしたい」と制作を開始。広範囲で白い雪を表現するため、黒い下地を磨き直す工程に多くの時間がかかりました。師事する版画工房の先生も「ここまで広い範囲で白くした経験はない」と驚きながら知恵を貸してくれ、普段は使わないヤスリを用いて描くなど、試行錯誤。仕上げに動物たちのカラフルなウェアなどを水彩絵の具で彩色し、音のない銀世界に生き生きとした命を吹き込みました。



▲メゾチントの作品を作るための道具たち。
(右からバニッシャー、スクレーパー、ベルソー、バニッシャー、バニッシャー、ニードル)
今作のテーマは「許す」こと
幼い頃から絵本を自作するなど、絵本に親しんできたこたかさん。絵本づくりを本格的に学ぶため、10年前に北海道から上京しました。美術学校で出会ったメゾチントの作品に惹かれ、中学校の保健室の先生として働きながら制作を続け、2022年に『ぷくのたんけん うみのそこ』(みらいパブリッシング)でデビュー。今作が2作目の出版となりました。
『かまくらのおきゃくさま』に込められたテーマの一つは「許す」こと。作品の中では、かまくらを壊してしまったクマに、キツネのお兄ちゃんが「いっしょにつくろう」と声をかけ、もとのものより、もっとすてきなかまくらができあがります。「いまの社会では、失敗した人に厳しかったり、攻撃的な部分があったりする。でも、許しあえば、もっと素敵な世界が待っていると思います。絵本を読む子どもたちには、友達を許してあげたり、一緒にどうしようかと考えて行動する、そんな気持ちを持ってもらえたらなぁと願っています」
原画展は、2/4(水)~2/17(火)、11時~18時(初日は13時~、最終日は17時まで)。
会場は「ブックハウスカフェ ギャラリーこまどり」(東京都千代田区神田神保町2-5 北沢ビル1F)。
初日と土日祝は在廊予定で(11日祝日は15時~、15日日曜日は16時まで)、本やグッズの販売もあります。
「メゾチントならではの、深い黒を見てもらえたら」。
詳細はこたかさんのSNSでご確認ください。(https://www.instagram.com/michiruchiru94/)
〜こたかみちるさんの絵本はこちらから〜
タイトル:『かまくらのおきゃくさま』
書籍ページ:https://miraipub.jp/books/34946/
創作系レーベルkeuの絵本として、ひとつひとつの表現とデザインを丁寧に仕上げています。

タイトル:『ぷくのたんけん うみのそこ』
書籍ページ:https://miraipub.jp/books/19550/

取材・記事 瀧澤うた子
写真提供 こたかみちる





















