みらいちゃんの「本をつくるってどんなこと??」
【年末スペシャル】今年、心に残った一冊「がんばりやのなまけもの」の作者と編集さんに会いにいく!

ニュース
2025/12/24

 

「自分のための作品」が「誰かに届く一冊」に

みらい ぱぶちゃん、みらいパブリッシングでは今年もたくさんの絵本が出版されたね。

ぱぶ すてきな作品ばかりだったよね。みらいちゃんが心に残ってるのは?

みらい 私は「がんばりやのなまけもの」。仕事熱心で頑張り屋のナマケモノさんが、お仕事を頑張りすぎて、ある朝動けなくなっちゃうの。友達の助けを借りながら、少しずつ前を向いていくんだ。適応障害とか、うつがテーマの作品で、「言葉や絵、本の雰囲気がとっても優しくて、読むと安心できる」って声がたくさん届いたんだよ。

ぱぶ 人間社会っていろいろあるもんにゃあ。

みらい 全国各地の図書館からも注文が相次いでいて、海外出版の話もあるんだって。作者のそめやまいさんと編集の大橋あかりさんに、どうやってこの絵本を作ったのか、話を聞いてみよう!

 

「自分のための作業」が絵本作りのスタートだった!

みらい そめやさん、こんにちは!『がんばりやのなまけもの』が第一作目と聞きましたが、絵や文章は日ごろから書いていたのですか?

そめや いいえ、絵本は子どものころから好きで身近な存在でしたが、絵本を書こうと思ったことも、絵や文章を日常的に書くこともなかったんです。

 

みらい なんで、この絵本を作ることにしたんですか?

そめや 私も仕事一筋で働いてきて適応障害になり、絵本のなまけもののように仕事に行けなくなったんです。仕事を休んでいる間、ぽっかりと時間が空いて、世間から取り残されているという焦燥感に駆られていました。

「とにかく何かしないと」と思って、メンタルヘルス関連の資格を取得しようと勉強にとりかかったのですが、内容が頭に入らない。そんな中で、浮かんだのが、絵本でした。仕事もできなくなって、自分は役に立たないんじゃないかという虚しい気持ちを埋めるように制作を始めました。

 

みらい 時間を埋める自分の為の“作業”という感じだったんですね!

そめや 主人公をナマケモノにしたのも、自分が好きだからですし、ストーリーは私の経験そのままです。絵本として面白くとかは考えず、あった出来事や感じていた気持ちをどんどん出して、マイクロソフトのWordで無我夢中で作っていきました。

 

みらい え!この絵、Wordで作っていたんですか?!信じられない!

そめや パソコンの前に座ってカチカチと…。仕事の代わり、みたいな部分もありました。

同じように悩んでいる周りの人に「大丈夫だよ、1人じゃないよ」と伝えられるんじゃないかとか、こんな絵本があったら自分自身も救われるんじゃないかという思いもありましたが、もともとは出版してたくさんの人に届けようとは思ってなかったんです。でも、せっかく書き上げたので、公募でもしてみようかなぁと調べたときに、絵本出版賞を見つけて送ることにしました。

 

出版を決めたものの、そのあとが大変!

みらい 絵本出版賞の結果は、優秀賞にあたる「煌めきフューチャー賞」だったんですよね。

そめや びっくりしました。まさか賞をもらえるとは予想していませんでしたから。本にして家族や身近な人に渡したいなという気持ちや、賞のご縁もあって、出版することにしました。でも、それからが大変でしたね!

 

みらい 編集さんとの編集作業ですね。

そめや 初めてのことなので、編集の大橋さんから「ここをこうしたら」とアドバイスをもらっても、何をどうしたらいいのか、よくわからない。例えば、背景を入れたほうがいいと言われても「これで十分伝わるのに、なんでダメなの?」と。勘違いしたまま直して、また修正…なんていうこともありました。Wordの容量が大きくなりすぎて、セーブするだけでも、5分も10分もかかってるのに(笑)

その頃には仕事に復帰もしていましたから、時間を作るのも大変で、禿げるかと思いましたよ。「もういいです、やめましょう」と3回位、言いかけました…(笑)

 

みらい どうやって歩調を合わせていったんですか? 

そめや 「こういう理解で合っていますか」という確認と話し合いを重ねることで、だんだんと意見や気持ちのすり合わせができるようになりました。編集さんはプロですから、指摘されたら全部直さないといけないと思っていたんですが、自分が判断していいことも分かってきました。


編集を経て、表紙・裏表紙のデザインもより可愛らしく!

 

図書館からの注文や読者からの反響も大きく…

みらい いざ完成してどう感じましたか?

そめや 感動しましたね。手に取って開いて、次のページに何があるんだろうって、ワクワク感がある。私が最初に作ったものより、絵の印象や文章、細かい部分などが良くなって、読みやすく、たくさんの人に届くものになったと思います。

 

みらい 図書館や書店からも注文が相次ぎ、反響も大きいです!

そめや 適応障害やうつがだんだんと身近になってきているとは言え、まだ閉鎖的ですよね。今の時代にこのテーマの絵本を読みたい人や誰かに届けたい人が、たくさんいるんだなと実感しています。読んだ人から「私もうつで大変だった」とメッセージをもらったりもしましたよ。

お気に入りの書店に置いてもらったのも、うれしかったですね。書店に自分の本があるのを見ると、誰かのもとに、自分の気持ちが届いていくんだなぁって少し不思議な気持ちになります。出版を意識してスタートした作品ではなかったのですが、本にしてよかったなあ、特別な経験をしているなあとしみじみ思っています。

みらい 「自分のために作った作品が、出版を通じて、誰かに届く一冊になる」ってすごいなあ。今日はありがとうございました!

編集さんとのやりとりで、「がんばりやのなまけもの」はできあがっていったんだね。そめやさんと一緒に本づくりをした編集者の大橋あかりさんにも話をきいてみよう!

 

「何を選択しても大丈夫」と伝えるために

みらい 大橋さん、こんにちは!初めて『がんばりやのなまけもの』の原稿を手にした時はどう感じましたか? 

大橋 会社や学校に行くのが辛いと感じる人が増えているし、周囲も認知し始めていますよね。一方で、「頑張りすぎてしまう」「自分を追い詰めてしまう」ということがテーマになっている絵本はまだ多くはないので、時代に合っているし、貴重な作品だと感じました。

 

みらい 本を作っていく中で大切にした事はなんですか?

大橋 そめやさんは、悩みを抱える人に『何を選択しても、どんなに時間がかかっても大丈夫』と伝えられる本にしたい、と話してくれました。編集としては、読者に愛着をもってもらうために、登場人物や物語の設定を具体的に作り込むことがあります。でも、本作では、そうした作り込みが、設定に当てはまらない人を傷つける“言葉のナイフ”になってしまわないように気を付けたい、という気持ちをそめやさんと共有しました。そこで、例えば、もっとなまけものの心情表現を工夫してみませんか、と提案し、「むねが ぎゅう と しめつけられて うまく いきが できないような きがしました」というように体の感覚を言葉にしたり、なまけものが泣いているシーンの背景に色を加えたりすることで、読者の没入感を促す表現に変わっていきました。

結果として、言葉や絵の力が増し、イメージを読者と分かち合うことができて、「まるで自分の話みたい」と感じてもらえるようになったのではないかなと思っています。

 

この世界に生きる全ての人に届けたいラスト

みらい どんな人に読んでほしいですか?

大橋 この世界に生きている人、みんなですね。働いてなくても働いていても、みんな生きているだけで頑張っています。そめやさんは、「疲れている人にも届く絵本にしたい」と話していたのですが、さまざまな状況の人の心に寄り添えるというのは、絵本の持っている力そのものだと思います。この絵本を手に取って、ちょっとでも楽になってくれたらと願っています。

私がとくに見てほしいのは、本のラストです。当初、なまけものは仕事にもどっていく、という結末だったのですが、そめやさんが最後まで悩んで、まったく違うものを書き上げました。絵も言葉もすばらしく、心があたたかくなる、ずっと見ていたいと思えるページです。

みらい そめやさんと大橋さんが、読む人のことを思いながら作ったんですね。この絵本が、優しくて温かい理由が分かった気がします。そめやさん、大橋さん、今日はありがとうございました!

ああ、来年もすばらしい絵本に会えるのが楽しみだなあ!

 

 

 

『がんばりやのなまけもの』の詳細・ご購入はこちらから

作:そめやまい

書籍ページ:https://miraipub.jp/books/34246/


そめやさんはInstagramでも絵本について発信中!ぜひご覧ください🦥
@the_hardworking_sloth

 

 

2025.12.24

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