乳がんと向き合うあなたへ
~自分に合った治療と医療機関の選び方~
著者芝 英一
価格 1870円(税込)
四六判 184ページ ソフトカバー
2026年9月25日 ISBN978-4-434-38518-6
みらい乳がん治療の方法と医療機関、どうやって決めますか?
年間800件を執刀する院長が明かす判断基準。
「慌てなくて大丈夫」——乳がんと告げられた直後の患者に、著者が診察室で最初に伝える言葉。
日本人女性の約8人に1人が生涯で罹患し、女性の部位別がん罹患数では第1位。一方、死亡数では第4位にとどまり、早期に見つかれば高い確率で治癒が期待できる。それでも診察室には「頭が真っ白になった」「まだ現実だと思えない」という声が絶えない。
著者は乳腺診療歴40年以上、年間約800件の乳がん手術を行う大阪ブレストクリニック院長。
本書が扱うのは二つの問い——「治療をどう選ぶか」と「どこで受けるか」。
温存か全摘か。放射線治療は本当に大変なのか。「すぐ手術しないと手遅れ」は本当か。ネットにあふれる体験談とどう付き合うか。患者が陥りがちな誤解を一つずつ解きほぐし、唯一の正解がなくても納得して決めるための考え方を示す。
前半のもう一つの軸が、類書がほとんど正面から扱ってこなかった「医療機関の選び方」。病院とクリニックの役割の違い、紹介状なし受診の選定療養費、症例数が意味するもの、放射線治療装置や病理医の有無、そして長く通い続けられるかどうか。規模や知名度だけでは見えない判断材料を、大学病院・基幹病院とクリニックの双方で診療してきた医師が具体的に語る。
後半は、母子家庭に育ち医師を志した半生から、開業直後の資金難、三院体制に至るまでの歩み。さらに検診から術後リハビリまでを一つのチームで担う診療の実際を、妊娠・出産を望む30代、夫の介護を抱える70代など実際の症例とともに紹介する。
診断されたその日に結論を出す必要はない。迷いのただ中にいる人と、その家族へ。
目次
第1章 乳がんと向き合うための第一歩
第2章 病院か、クリニックか——乳がん治療の現場から見えること
第3章 これから治療を選ぶあなたへ
第4章 一人の医師として、この医療にたどり着くまで
第5章 患者さんと向き合うということ
第6章 実際の治療の流れとサポート体制
第7章 乳腺専門クリニックという選択
編集者からのコメント
•乳がんの解説書は数多くありますが、本書の核は「治療の選び方」と「医療機関の選び方」を同じ重みで扱った点にあります。後者を正面から論じた一般書はほとんどありません。
•著者は大学病院、地域の基幹病院、そして自ら開いた乳腺専門クリニックの三つの立場すべてで診療してきた医師です。だからこそ「大きな病院なら安心」でも「クリニックが一番」でもない、両者の役割の違いから説き起こす記述が可能になりました。
•病院とクリニックの法的な線引き、紹介状なし受診の選定療養費、症例数という指標の意味と限界、放射線治療装置や常勤病理医の有無、人事異動による主治医交代——患者が知らないまま選んでいる要素を、具体的に言語化しています。
•前半は診断直後の読者に向けた実務的な内容です。「すぐ手術しないと手遅れ」「乳房を全部取れば再発しない」「放射線は髪が抜ける」といった誤解を、根拠を示しながら一つずつ解いていきます。
•「慌てなくて大丈夫」「一人で悩まなくて大丈夫」という著者の言葉を、各章の締めくくりに配置しました。情報過多の時代に、まず気持ちを落ち着けるための本という設計です。
•第4章は、母子家庭に育ち「母子家庭ではよい会社に就職するのは難しい」という教師の言葉に危機感を覚えて医学部を志した半生の記録です。開業直後に顧問税理士から資金繰りの危機を告げられた場面まで率直に描かれており、読み物としての力があります。
•妊娠・出産を望む30代、夫の介護を担う70代など、実際の症例を通して「同じ乳がんでも守りたいものは人によって違う」ことを示しています。患者本人だけでなく、支えるご家族にも読んでいただきたい一冊です。
芝 英一(しば えいいち)
大阪ブレストクリニック院長/乳腺外科医・医学博士
兵庫県尼崎市出身。1977年大阪大学医学部卒業後、同大附属病院第2外科へ入局。1979年西宮市立中央病院外科、1982年大阪大学医学部附属病院第2外科、1984年大阪府立成人病センター(現・大阪国際がんセンター)第3外科、1986年ハーバード大学医学部留学、1989年大阪大学医学部第2外科助手、1995年同腫瘍外科助教授。2000年大阪厚生年金病院(現・JCHO大阪病院)乳腺・内分泌外科部長を経て、2005年、大阪府下で初めて乳腺疾患に特化した有床診療所「大阪ブレストクリニック」を開院。
現在は大阪・奈良の三院体制で、年間約800件の乳がん手術を行う。乳がん手術数は大阪府下最多を15年にわたり維持し、全国でもトップクラス。クリニックとしては例外的に病理診断科・放射線治療科・形成外科・婦人科を院内に備え、検診から診断、手術、術後治療、リハビリテーションまでを一つのチームで担う体制を築いた。乳腺診療歴40年以上。「患者さんが安心して高度な治療を受けられる医療」をライフワークとして追求している。
日本外科学会認定医・専門医・指導医、日本乳癌学会専門医・指導医、日本内分泌・甲状腺外科専門医、NPO法人日本乳がん検診精度管理中央機構認定読影医。日本乳癌学会功労会員顕彰。
大阪ブレストクリニック:https://www.osaka-breast-clinic.com/
院長ブログ:https://www.osaka-breast-clinic.com/blog/
















