この連載について

日々の暮らしの中で、感じたこと、思ったこと。

詩人の谷郁雄(たに いくお)さんが、日々から生まれた詩をつづる連載です。

毎月2回、月はじめと中頃に、コメントと未発表の詩を公開していきます。

2週間にいちど、ここでお会いしましょう。

 

 

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日々の暮らしの中で、見聞きしたこと、感じたこと、思ったことなど、ぼくは毎日のように詩に書いています。

そんなぼくの「日々の言葉」を、少しずつ発信していきたいと思います。感想など大歓迎です。

 

 

 

「裏返し」

 

一日の終わりに
ぼくが
脱ぎ捨てたもの

Tシャツも
パンツも
靴下も

全部
くるりと
裏返し

よく見ると
パンツだけが
裏返しじゃない

パンツを
裏返しに
穿いていたんだ

 

 

 

「一週間」

 

一週間に
一回くらい
心の底から
笑えたらいい

また
次の一週間も
生きてみようと
思えるように

 

 

 

「トイレットペーパー」

 

誰かが
泣いていたら

ハンカチや
ティッシュを
差し出す代わりに

だまって
トイレットペーパーを
まるごと
一個まま
差し出したい

涙も
トイレットペーパーで
ごしごし
ぬぐったほうが
悲しみも
早く
乾かせる気がするから

 

 

 

「風穴」

 

社会に
風穴をあけようと
思って
頑張ったら

自分の心に
大きな
穴があき

その穴を
社会の風が
気持ちよく
吹きぬけていく

 

 

 

 

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谷郁雄さんへのメッセージや詩のご感想はこちらまでお送りください。
webkikaku@miraipub.jp (みらいパブリッシング ウェブ編集部)

 

 

 

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《 谷郁雄さん プロフィール 》

1955 年三重県生まれ。同志社大学文学部英文学科中退。大学在学中より詩作を始め、78 年に大学を中退後、上京。90 年に『死の色も少しだけ』で詩人デビュー。93 年『マンハッタンの夕焼け』が小説家の辻邦生の目にとまり、第3回ドゥマゴ文学賞の最終候補作に。詩集に『自分にふさわしい場所』『日々はそれでも輝いて』『無用のかがやき』『思春期』『愛の詩集』『透明人間 再出発』『バンドは旅するその先へ』『バナナタニ園』他多数。詩集の他に、自伝的エッセイ集『谷郁雄エッセイ集 日々はそれでも輝いて』などがある。いくつかの作品は、信長貴富氏らの作曲により、合唱曲にもなっている。また、中学校の教科書の巻頭詩にも作品が選ばれている。

 

《 谷郁雄さんの本 》

詩を読みたくなる日
小さな希望について書かれた40篇の日々のポエム

 

 

 

 

大切なことは小さな字で書いてある
詩に飽きたら、また日常へと戻っていけばいい。 「詩の時間」シリーズの第1作目。

 

 

 

バナナタニ園
「楽園、ここにあります」谷郁雄の詩×吉本ばななの写真×寄藤文平の絵。ページを繰るほどに愛着がでてくる、楽園へのパスポート