詩人・谷郁雄の日々の言葉 36
最近はよく写真を撮るようになりました。
きっかけは、スマホを持
もともと写真を撮るのが好きだったので、自
ぜひnoteの連載ものぞいてみ
明日も写真撮ろうかな。
「十秒くらい」
知っているようで
よくは知らない
知らないけれど
友達の一人
ラインやメールの
やりとりはする
約束してないのに
道でばったり
出会ったりする
あなたは
ぼくの一部
ぼくも
そうだといいな
ぼくが先に死んだら
ぼくの分まで長生きして
たまに
木陰とか陽だまりで
ぼくのことを
思い出してくれたらいい
できれば
十秒くらい
「紅茶」
十センチ
背伸びすると
世界が
ちがって見える
けれど
ぼくは
逆のことを
やってみた
ヒザを折り曲げ
背を低くして
ガスコンロの前に
立ってみた
そうか
妻はいつも
こんな近くで
ガスの炎と
戦っていたのか
湯気の熱さに
耐えていたのか
ぼくは
背を元に戻して
やかんの熱いお湯で
紅茶を淹れた
谷郁雄さんへのメッセージや詩のご感想はこちらまでお送りください。
webkikaku@miraipub.jp
《この連載について》
日々の暮らしの中で、感じたこと、思ったこと。
詩人の谷郁雄さんが、日々から生まれた詩をつづる連載です。
2週間にいちど、ここでお会いしましょう。
《 谷郁雄さん プロフィール 》
1955 年三重県生まれ。同志社大学文学部英文学科中退。大学在学中より詩作を始め、78 年に大学を中退後、上京。90 年に『死の色も少しだけ』で詩人デビュー。93 年『マンハッタンの夕焼け』が小説家の辻邦生の目にとまり、第3回ドゥマゴ文学賞の最終候補作に。詩集に『自分にふさわしい場所』『日々はそれでも輝いて』『無用のかがやき』『思春期』『愛の詩集』『透明人間 再出発』『バンドは旅するその先へ』『バナナタニ園』他多数。詩集の他に、自伝的エッセイ集『谷郁雄エッセイ集 日々はそれでも輝いて』などがある。いくつかの作品は、信長貴富氏らの作曲により、合唱曲にもなっている。また、中学校の教科書の巻頭詩にも作品が選ばれている。