詩人・谷郁雄の日々の言葉 30

イメージ
By 編集部 / 2022.01.29

この連載について

日々の暮らしの中で、感じたこと、思ったこと。

詩人の谷郁雄さんが、日々から生まれた詩をつづる連載です。

2週間にいちど、ここでお会いしましょう。

 

 

 

 

・・・・・・・

 

 

 

先日、3回目のワクチン接種をすませました。

1回目と2回目はモデルナ、3回目はファイザーでした。

腕が痛くなり、頭痛とダルさがありましたが、なぜか発熱はなし。

2回目は38℃の熱が出たので覚悟していましたが、拍子抜けしてしまいました。

ちなみに、注射をしてくれた女医さんは若くてきれいな人でした。それがせめてもの救いです。

 

 

 

 

 

「好きな色」

 

好きな色は

ときどき黄色
たまに赤

 

本当は
無色透明に
なってしまいたい

 

好きな人は
あなた
あなた以外は
ただの背景

 

 

 

「親友」

 

暗い考えや
心配事や
小さな悲しみが
からっぽの心に
入り込む前に

 

あなたは
窓をあけ
朝日に挨拶し
からっぽの心を
光で満たす

 

心を病んで
生きることを
やめてしまった
親友とともに
生きていくために

 

 

 

「手紙」

 

手紙を書くよ
手紙には
元気でやってますと
書いてもいいし
悲しいことがありましたと
書いてもいい

 

手紙を書くよ
手紙には
お元気ですかと
書いてもいいし
元気を出してくださいねと
書いてもいい

 

久しぶりに
手紙を書いて
花の切手でも
貼りつけて
ポストにほりこんで

 

明日
届くはずの
ぼくからの手紙を
待つことにする

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・

 

 

谷郁雄さんへのメッセージや詩のご感想はこちらまでお送りください。
webkikaku@miraipub.jp

 

《 関連リンク 》

連載一覧(この連載のすべての記事を表示する)
インタビュー

 

《 谷郁雄さん プロフィール 》

1955 年三重県生まれ。同志社大学文学部英文学科中退。大学在学中より詩作を始め、78 年に大学を中退後、上京。90 年に『死の色も少しだけ』で詩人デビュー。93 年『マンハッタンの夕焼け』が小説家の辻邦生の目にとまり、第3回ドゥマゴ文学賞の最終候補作に。詩集に『自分にふさわしい場所』『日々はそれでも輝いて』『無用のかがやき』『思春期』『愛の詩集』『透明人間 再出発』『バンドは旅するその先へ』『バナナタニ園』他多数。詩集の他に、自伝的エッセイ集『谷郁雄エッセイ集 日々はそれでも輝いて』などがある。いくつかの作品は、信長貴富氏らの作曲により、合唱曲にもなっている。また、中学校の教科書の巻頭詩にも作品が選ばれている。

 

谷郁雄さんの本