この連載について

日々の暮らしの中で、感じたこと、思ったこと。

詩人の谷郁雄(たに いくお)さんが、日々から生まれた詩をつづる連載です。

毎月2回、月はじめと中頃に、コメントと未発表の詩を公開していきます。

2週間にいちど、ここでお会いしましょう。

 

 

 

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先日、コロナワクチンの1回目の接種に行きました。

高齢者の列に並び、人生の短さを感じていました。

ニシキヘビの詩を書いたときは、ニシキヘビの捜索が始まったばかりの頃でした。

飼い主のアパートの屋根裏で発見されたときは「えーっ!」と叫んでしまいました。

最近のニシキヘビは冒険心が足りんなあ(笑)

 

 

 

 

「父と娘」

 

ときどき
娘のスマホで
写真を撮ってもらう

自分の
経年劣化を
自分の目で
たしかめるために

いつまでも
若くいられるのではないか
という
甘い考えを捨て去るために

ちょっと
すまして
はにかんで
娘の前に立つ

 

 

 

 

「ルネ・シャールの詩」

 

脱走した
ニシキヘビは
いま頃
どこで何を
しているのだろう

草木や
川や
奥深い森が
キミを守ってくれるだろう

テレビで
見たキミは
大きくて
美しかった

フランスの詩人
ルネ・シャールの
詩の一行を
キミに捧げよう

“蛇の健康を祝す”

 

 

 

 

「ジグソーパズル」

 

自分の
心の中に
収め切れないことは

小さな
かけらに
分割して

みんなの
心の中に
収めればいい

 

 

 

 

 

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谷郁雄さんへのメッセージや詩のご感想はこちらまでお送りください。
webkikaku@miraipub.jp (みらいパブリッシング ウェブ編集部)

 

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《 谷郁雄さん プロフィール 》

1955 年三重県生まれ。同志社大学文学部英文学科中退。大学在学中より詩作を始め、78 年に大学を中退後、上京。90 年に『死の色も少しだけ』で詩人デビュー。93 年『マンハッタンの夕焼け』が小説家の辻邦生の目にとまり、第3回ドゥマゴ文学賞の最終候補作に。詩集に『自分にふさわしい場所』『日々はそれでも輝いて』『無用のかがやき』『思春期』『愛の詩集』『透明人間 再出発』『バンドは旅するその先へ』『バナナタニ園』他多数。詩集の他に、自伝的エッセイ集『谷郁雄エッセイ集 日々はそれでも輝いて』などがある。いくつかの作品は、信長貴富氏らの作曲により、合唱曲にもなっている。また、中学校の教科書の巻頭詩にも作品が選ばれている。

 

《 谷郁雄さんの本 》

詩を読みたくなる日
小さな希望について書かれた40篇の日々のポエム

 

 

 

 

大切なことは小さな字で書いてある
詩に飽きたら、また日常へと戻っていけばいい。 「詩の時間」シリーズの第1作目。

 

 

 

バナナタニ園
「楽園、ここにあります」谷郁雄の詩×吉本ばななの写真×寄藤文平の絵。ページを繰るほどに愛着がでてくる、楽園へのパスポート