連載|詩人・谷郁雄の日々の言葉 -3-

連載
2021/01/03

この連載について

日々の暮らしの中で、感じたこと、思ったこと。

詩人の谷郁雄(たに いくお)さんが、日々から生まれた詩をつづる連載です。

毎月2回、月はじめと中頃に、コメントと未発表の詩を公開していきます。

2週間にいちど、ここでお会いしましょう。

 

 

・・・・・・・

 

 

皆様、あけましておめでとうございます。

ぐっすり眠って目が覚めたら、元日のきれいな青空が窓越しに広がっていました。

友達の尾崎くんの小説「母影」が芥川賞候補になっています。

受賞しますように。

 

 

 

 

「笹」

 

パンダは
笹を食べてるのに
あんなに太っている

 

あなたは
お肉とか
ケーキとか
ぜいたくなものばかり
食べてるのに
そんなに痩せている

 

明日から
笹食べる?

 

 

 

「コーヒー」

 

コーヒーを
ひとくち
口にふくんだ
そのとき
コーヒーが
飲みたかったと
ふと気づくように

 

いつも
そんなふうに

 

あなたと
暮らせたら
いいのに

 

 

 

「おつかい」

 

タマネギと
バター
買ってきてくれる?

余計なものは
買わなくていいからね

六百円
ポケットに入れて
ぼくは出かける

灰色の空に
小さな穴が
たくさんあいていて
そこから雨が降ってくる

タマネギ
バター
ついでに
どら焼も

六百円で
足りるかな?

 

 

 

「しんどいときは」

 

犬や
猫や
ゴキブリを
数えるように

人間も
一匹
二匹と
数えるといい

人として
生きるのが
しんどいときは

 

 

 

 

 

・・・・・・・

 

 

谷郁雄さんへのメッセージや詩のご感想はこちらまでお送りください。
webkikaku@miraipub.jp (みらいパブリッシング ウェブ編集部)

 

 

 

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作者プロフィール

谷郁雄(たに いくお)

1955 年三重県生まれ。同志社大学文学部英文学科中退。
大学在学中より詩作を始め、78 年に大学を中退後、上京。
90 年に『死の色も少しだけ』で詩人デビュー。
93 年『マンハッタンの夕焼け』が小説家の辻邦生の目にとまり、第3回ドゥマゴ文学賞の最終候補作に。
詩集に『自分にふさわしい場所』『日々はそれでも輝いて』『無用のかがやき』『思春期』『愛の詩集』『透明人間 再出発』『バンドは旅するその先へ』『バナナタニ園』他多数。
詩集の他に、自伝的エッセイ集『谷郁雄エッセイ集 日々はそれでも輝いて』などがある。
いくつかの作品は、信長貴富氏らの作曲により、合唱曲にもなっている。
また、中学校の教科書の巻頭詩にも作品が選ばれている。

 

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2021.01.03

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