詩の定期便 5

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By 笠原名々子・nanako / 2021.08.08

この連載について

「詩は生むものではなく 自分を分割する行為なのかもしれません」

15歳で詩集『童女M』を刊行し、詩人として表現活動を続ける、みちる(松崎義行)さんによる詩の連載です。

2週間にいちど、ここに詩をとどけます。

 

 

 

 

 

 

 

 

行きずりのカモメに指揮棒を振っている
行きずりのカモメは歌うの?
それとも楽器を奏でるの?

 

雨の日のバスに指揮棒振っている
雨の日のバスは歌うの?
それとも楽器を奏でるの?

 

遠くのカミナリ雲に指揮棒振っている
遠くのカミナリ雲は歌うの?
それとも楽器を奏でるの?

 

月の砂漠に指揮棒振っている
月の砂漠は歌うの?
それとも楽器を奏でるの?

 

 

 

 

 

 

 

 

本当はあなたのことが好きだったから

あなたを遠ざけた

あなたはとどまろうとした

そしていまもその場所にとどまっている

けれどあなたはその場所にはいない

 

 

 

 

 

 

 

 

赤い魚

 

 

きみはいつ
自分は特別だ
と 気づいたのか

 

青い海原を跳んだとき
きみの体は逆光に縁取られ
視界の隅に自らの赤を見た
そのとき
きみは
自分が特別だ
と 気づいた

 

だが
また海に落ちて
群れをなす仲間たちと
一緒に泳ぐしかなかった

 

きみは特別な
赤い魚
いままでそうと知らずに
青い魚と群れて泳ぐ
特別な赤い魚

 

誰もがきみを
特別だと思う
まだそれに戸惑う
何もできない赤い魚

 

 

 

 

 

 

 

 

みちるさんへのメッセージや詩の感想はこちらまでお送りください。
webkikaku@miraipub.jp

 

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《 みちる(松崎義行)さん プロフィール 》

詩、作詞、詩の選評、本の編集。
詩のデザインレーベル  oblaat(オブラート)
札幌ポエムファクトリー指導
詩のある出版社・ポエムピース株式会社
本で未来を作る? 株式会社みらいパブリッシング
2 つの出版社の 社長

1964年東京吉祥寺生まれ。15歳の時に第一詩集「童女 M-16の詩」を出版社を設立して刊行。詩の投稿雑誌「TILL」「未来創作」を創刊。またエフエム福岡、ラジオ日本、雑誌「ダ・ヴィンチ」などで詩、歌詞の選者。詩集に「NONE」「SEVEN STEPS」「バスに乗ったら遠まわり」「100万円あげる」、「10秒の詩-心の傷を治す本」「幸せは搾取されない」、ビジネスエッセイ「詩人少年、社長になる」「夢を100万回かなえる方法」(日本・韓国)。「oblaat(オブラート)」、「福島の花を広めるプロジェクト」に参加。「ここは花の島」、同名の合唱曲(谷川賢作さん作曲)、トリ音ミニアルバム「自分らしさを咲かせて」、オタクノマドとして絵本のテーマソングシリーズ「ピカ・プカ・ポン」作詞。

 

《 関連書籍 》

詩人と母
著者 田原・松崎義行
命を見つめる、日中両国の詩人による詩&エッセイの感動競作!!

 

 

 

 

10秒の詩  ─ 心の傷を治す本 ─
詩:みちる 絵:上村奈央
ロングセラー増刷出来。短い言葉が心の奥まで浸透して、傷を治します。

 

 

 

幸せは搾取されない
著者 松崎義行
詩の時間シリーズ。読みやすくて、深い詩の世界を旅してみませんか