詩人・谷郁雄の日々の言葉 -16-

連載
2021/07/17

この連載について

日々の暮らしの中で、感じたこと、思ったこと。

詩人の谷郁雄(たに いくお)さんが、日々から生まれた詩をつづる連載です。

2週間にいちど、ここでお会いしましょう。

 

 

 

・・・・・・・

 

 

 

今朝も梅雨明けの青空が美しく広がり、木々の枝ではセミが鳴き始めました。

セミ捕りに夢中になった子供時代を懐かしく思い出します。

さすがにセミ捕りはしなくなりましたが、何かに夢中になるとクレイジーになるところは、あの頃もいまも変わっていません。

ぼくの新しい詩集『詩を読みたくなる日』がアマゾンで予約受付中です。

詩集の新着ランキングで1位になりました。ぜひ読んでみてください!

 

 

 

 

 

「ぼくとよく似た名前のいきもの」

 

右腕を
2カ所
ダニにかまれた

ぼくは
人間界では
詩人と呼ばれたり
たまに
先生と呼ばれたり
することもあるのに

ダニの目から
見ると
ただの
エサ

せめて
いただきますと
ごちそうさまくらい
言ってもらいたい

 

 

 

 

「幸せさがし」

 

雨上がりの
原っぱで
前屈みになり
幸福の
四つ葉のクローバーをさがす妻

幸せが
足りていないと
妻から
夫への
ささやかなアピール

かすむ目を
必死に
見開き
妻より先にと
さがしはじめる夫のけなげさ

 

 

 

 

「一礼」

 

今日
面白いものを
見た

神社の
鳥居の下で
神さまに
大きなおしりを向けて
世間に向かって
深々と
一礼する若い女性

向きが
反対ですよと
アドバイスしたかったけど
それもありかと思い直して

彼女の願いが
叶いますようにと
神さまに願った

 

 

 

 

 

・・・・・・・

 

 

谷郁雄さんへのメッセージや詩のご感想はこちらまでお送りください。
webkikaku@miraipub.jp 

 

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《 谷郁雄さん プロフィール 》

1955 年三重県生まれ。同志社大学文学部英文学科中退。大学在学中より詩作を始め、78 年に大学を中退後、上京。90 年に『死の色も少しだけ』で詩人デビュー。93 年『マンハッタンの夕焼け』が小説家の辻邦生の目にとまり、第3回ドゥマゴ文学賞の最終候補作に。詩集に『自分にふさわしい場所』『日々はそれでも輝いて』『無用のかがやき』『思春期』『愛の詩集』『透明人間 再出発』『バンドは旅するその先へ』『バナナタニ園』他多数。詩集の他に、自伝的エッセイ集『谷郁雄エッセイ集 日々はそれでも輝いて』などがある。いくつかの作品は、信長貴富氏らの作曲により、合唱曲にもなっている。また、中学校の教科書の巻頭詩にも作品が選ばれている。

 

《 谷郁雄さんの本 》

詩を読みたくなる日
小さな希望について書かれた40篇の日々のポエム

 

 

 

 

大切なことは小さな字で書いてある
詩に飽きたら、また日常へと戻っていけばいい。 「詩の時間」シリーズの第1作目。

 

 

 

バナナタニ園
「楽園、ここにあります」谷郁雄の詩×吉本ばななの写真×寄藤文平の絵。ページを繰るほどに愛着がでてくる、楽園へのパスポート

 

 

 

 

 

 

2021.07.17

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