詩人・谷郁雄の日々の言葉 -15-

連載
2021/07/03

この連載について

日々の暮らしの中で、感じたこと、思ったこと。

詩人の谷郁雄(たに いくお)さんが、日々から生まれた詩をつづる連載です。

2週間にいちど、ここでお会いしましょう。

 

 

 

・・・・・・・

 

 

 

先日、2回目のワクチン接種をすませました。

2回目は副反応が強くなる、と聞いていたので覚悟はしていましたが、やはり接種の翌日に38度くらいの発熱がありました。

2回の接種をすませ、ちょっと安心、でもまだ不安といった心境です。

7月末に出る詩集の完成を楽しみに日々を送りたいと思います。

 

 

 

 

 

「007」

 

番号を
付けられ
番号で
呼ばれて
番号で
処理されていく心地よさ

この世に
ただ一人の
自分を生きることに
疲れたとき

ぼくは
ここに
やってくる

ダブルチーズバーガーと
ホットコーヒーのSを
ください
持ち帰りで

 

 

 

 

「ぼくのいない朝」

 

毎日
読む
紙の本

ときどき
乗る
自転車

詩を
書くための
小さな机

鉛筆と
鉛筆削りと
消しゴム

美しい
思い出と
人生の残り時間

やさしい
友人たちと
たくましい妻

ラジオと
ワインと
お風呂

リーバイス511と
コンバースの
スニーカー

雨風を
しのげる
心地よい家

木陰と
日だまりと
歩き慣れた小径

何を
考えているのか
分からない異性

青空と
くもり空と
喜びと悲しみ

いつか
訪れる
ぼくのいない朝

 

 

 

 

「いってきます」

 

今日一日でさえ
予測不可能
手探りで
生きることができるだけ

マスク
Suica
ケータイ
お金

忘れずに
持ったかと
妻が言う

全部
持ったよ

ありったけの勇気と
帰れないかもしれない
覚悟とともに

いってらっしゃい

いってきます

 

 

 

 

 

・・・・・・・

 

 

谷郁雄さんへのメッセージや詩のご感想はこちらまでお送りください。
webkikaku@miraipub.jp (みらいパブリッシング ウェブ編集部)

 

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《 谷郁雄さん プロフィール 》

1955 年三重県生まれ。同志社大学文学部英文学科中退。大学在学中より詩作を始め、78 年に大学を中退後、上京。90 年に『死の色も少しだけ』で詩人デビュー。93 年『マンハッタンの夕焼け』が小説家の辻邦生の目にとまり、第3回ドゥマゴ文学賞の最終候補作に。詩集に『自分にふさわしい場所』『日々はそれでも輝いて』『無用のかがやき』『思春期』『愛の詩集』『透明人間 再出発』『バンドは旅するその先へ』『バナナタニ園』他多数。詩集の他に、自伝的エッセイ集『谷郁雄エッセイ集 日々はそれでも輝いて』などがある。いくつかの作品は、信長貴富氏らの作曲により、合唱曲にもなっている。また、中学校の教科書の巻頭詩にも作品が選ばれている。

 

《 谷郁雄さんの本 》

詩を読みたくなる日
小さな希望について書かれた40篇の日々のポエム

 

 

 

 

大切なことは小さな字で書いてある
詩に飽きたら、また日常へと戻っていけばいい。 「詩の時間」シリーズの第1作目。

 

 

 

バナナタニ園
「楽園、ここにあります」谷郁雄の詩×吉本ばななの写真×寄藤文平の絵。ページを繰るほどに愛着がでてくる、楽園へのパスポート

 

 

 

 

 

 

2021.07.03

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